慎重さの要求されるマーケット(景気後退の足音が聞こえてきた)

本邦4-6月期のGDPは、ほぼ予想(-1.8%)通りの-1.6%。 1-3月期の数字が+3.9%から+4.5%に上方改定されたので、事前予想よりは良い事にはなるが、改善理由が「在庫の積み増し」なので、救いにはならない。7-9月の数字が焦点となるが、これが思うように強い数字でなければ、景気対策や追加緩和が課題になってくるだろう。

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今回の数字が悪かったのは、個人消費と外需が悪かったからだ。従来6月中にセールが始まっていたのが、7月に後ろ倒しになったので、消費が伸びなかったという解説もあるが、その程度でここまで落ち込むだろうか。根本的には賃金が上がっていないからだ。マスコミ報道等では「上がっている」ことになっているが、経済統計を見ると下がっている。賃金に遅効性があるとは言っても、この先時間が経てば賃金が上がるとはとても思えない。


60%も円安になり、金融を可能な限り緩和し、米国経済も立ち上がってきているのにマイナス成長ということは、そろそろ政策の見直しが必要になってくる頃だろう。アベノミクスへの期待は剥落しつつある。

今週の予想だが、19日(水)FOMC議事録が最大の焦点か。通常であれば、そこで米利上げへの道筋を確認し、米金利は上昇、ドル高相場となるのであろうが、人民元切り下げという予想外の事件が起こり、マーケットは消化不良に陥っている。切り上げ直後に、IMFから歓迎のコメントがあり、ダドレーNY連銀総裁が「理解できる」と発言したということは、事前に米側への根回しがあったということだ。そして、米側が人民元切り下げに同意したということは、中国経済は相当落ち込んできているということかもしれない。


多くのストラテジストは、人民元ショックは早晩落ち着き、次は米利上げが相場のテーマと言っているが、ちょっと考えが足りないのではないだろうか。重い問題と軽い問題をごちゃ混ぜにしている。中国が本格的に景気後退したら、それはリーマン・ショック並みのインパクトが有る。マーケットは全く変わってくる。これまでの延長線上ではありえない。

少し先の、景気後退、もしかしたら経済危機、金融危機が見ててきているのかもしれない。慎重さが必要だ。主要通貨、特にユーロドルの堅調さは、意味不明だが、何かを意味している。ポジションを縮小する動きが出ているのだろう。ドル円も、脳天気に125円を買っていけなくなってきたような気がする。大方の人は、米利上げを材料にドルを買うのであろうが、短期的にはOKかもしれないが、大きな危機が目前にまで迫っているのかもしれない。